東京地方裁判所 昭和54年(ワ)12676号 判決
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【主文】
一 被告は、別紙目録(二)記載の商品及びその宣伝用パンフレット、広告に別紙目録(一)記載の各商標を付して譲渡し、引渡し、譲渡若しくは引渡のため展示してはならない。
二 訴訟費用は被告の負担とする。
【説明】
「一 請求の原因
1 当事者
(一) 原告は、別紙目録(二)記載の各種商品を製造し、米国、日本その他数か国でこれを販売している米国会社である。
(二) 株式会社ボルト・サーフ(以下、「ボルト・サーフ社」という。)は同目録(二)記載の各種商品を製造販売していた。
(三) ボルト・サーフ社は、昭和五七年五月一八日午前一〇時、横浜地方裁判所より破産宣告を受け、被告が破産管財人に就任した。
2 契約に基づく請求<省略>
3 不正競争防止法に基づく請求
(一) 小室正則は、昭和四六年一二月、サーフィンの本場であるハワイに旅行し、同地のサーファーとして活躍していたジェリー・ロペスと出会い、ロペスがそのサーフボードに付していた本件商標(1)、(2)、(3)に多大の関心を抱き、昭和四七年二月ごろからこれを付したサーフボード等をロペスから輸入して販売し、その後商品範囲を拡げ、一部を自ら製造販売するに至り、同年八月には、ロペス及び同じくプロサーファーであるリノ・アベリラを、昭和四八年八月にはロペス、その弟であるビクター・ロペス、女子サーファー レラ・サンを、昭和四九年八月にはロペス、ロリーラッセルを日本に招待し、デモンストレーションやサイン会等を催し、右各商標の宣伝をした。こうして右各商標を付したサーフボード等の商品がよく売れるようになつてくると、他の業者がロペスと連絡を取り、右各商標についての専属契約を締結しようと企てるようになつて来たので、昭和五〇年一月一日、小室は、ロペスが実質上の経営者であつたライトニング・ボルト・アンリミッテット・サーフ・コンパニー・インコーポレッテッド(以下、「旧ボルト社」という。)との間において、許諾商品をサーフボードの他、ワックス、スイミングトランクス、Tシャツ、アロハシャツ、カードとする「LIGHTNING BOLT」の文字及び図形商標(以下、「ボルト商標」という。)の専用使用許諾契約を締結し、自己が、わが国でのボルト商標の唯一の使用権者であるとして、その販売にかかる本件各商標を付した商品がロペス又は旧ボルト社に由来する正当商品であることを宣伝した。同契約は、昭和五一年四月三〇日の経過により終了したが、そのころ、ボルト商標は旧ボルト社から原告に譲渡され、一方、小室は、ボルト・サーフ社を設立して。同社の代表取締役となり同社にその事業を承継させたので、昭和五一年九月一日、ボルト・サーフ社は、原告との間で前記2(一)記載の契約を締結し、原告商品の日本総代理店の表示の下に、サーフボードの他、ウェットスーツ、Tシャツ、トランクス、ステッカ等に本件各商標を付してこれを販売し、これらの商品が原告に由来する旨を表示して宣伝活動を行つた。本件商標(1)、(2)、(3)は、小室及びボルト・サーフ社が行つた以上の販売活動、宣伝活動により、昭和五二年八月当時、わが国において、原告の商標として広く認識されるに至つた。
(二) しかるに、ボルト・サーフ社は、本件契約が終了した後においても、別紙目録(二)記載の商品及びその宣伝用パンフレット、広告に本件各商標を付して譲渡し、引渡し、譲渡若しくは引渡のため展示していた。
(三) ボルト・サーフ社の使用にかかる本件各商標は、原告の右周知商標と同一若しくは類似である。
(四) したがつて、ボルト・サーフ社が本件各商標を別紙目録(二)記載の商品に付して販売することは、原告の商品と出所の混同を生じ、原告の営業上の利益を害するおそれがある。
(五) よつて、原告は、被告に対し、不正競争防止法第一条第一項第一号により、2の請求と選択的併合の関係で、請求の趣旨第一項のとおりの商標の使用禁止を求める。」
【判旨】
一請求の原因1(二)の事実は、ボルト・サーフ社が別紙目録(二)記載の商品中のパンツを製造販売していた点を除き、当事者間に争いがない。
二そこで、不正競争防止法に基づく請求について判断する。
右当事者間に争いのない事実と<証拠>を綜合すれば、請求の原因1(一)及び3(一)ないし(三)の事実が認められる。
<反証判断略>
請求の原因1(三)の事実は本件記録上明らかな事実であるが、本件口頭弁論終結時においてボルト・サーフ社に対する破産手続が今後いかなる推移をたどるのかは明らかでないので、ボルト・サーフ社がその事業を再開することがないとは断言できず、このことと前記の事実によれば、ボルト・サーフ社が別紙目録(二)記載の商品及びその宣伝用パンフレット、広告に本件各商標を付して、これを販売拡布し、原告の商品と混同を生ぜしめ、これによつて原告の営業上の利益が害させるおそれはなお存在するものといわなければならない。
三以上の事実によれば、原告の不正競争防止法に基づく請求は理由があるというべきである。
(牧野利秋 野﨑悦宏 設楽隆一)